高年齢者雇用安定法に基づいて、ほとんどの企業では65歳までの雇用延長措置がとられている。一旦60歳で定年となり、従前の賃金から減額した新しい雇用契約を締結するケースが一般的だろう。
定年前と同じ業務に就かせながら賃金のみを減額するといった契約も少なくないようだ。それは労働者の不満に繋がり、やる気を損ねることになる。高年齢者を戦力として活用するための制度でありながら、本末転倒と言えるだろう。
株式会社パーソル総合研究所が行った「シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査」結果によると、定年後再雇用による年収は約9割が減ったと回答。全体平均では年収が44.3%減額していることがわかった。その一方で、職務の変化については過半数が「ほぼ同様の業務」と回答している。同一労働同一賃金の観点からも問題があると言わざるを得ない。シニア人材の処遇については若い年代の社員ほど不公平感が強く、20代ではシニアの給料や評価に対して、約3割が不公平感を抱いている。高年齢者は自分たちの待遇に不満を抱え、その高年齢者を見ている若年労働者は、給与をもらいすぎ、成果以上に評価されていると不満を抱いている。高年齢者の活用にはまだまだ課題が多いようだ。
■参考:株式会社パーソル総合研究所|シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査|
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/activity/data/senior-peers.html