東日本大震災で被災した仙台市のマンションに居住していた世帯の世帯主が、罹災証明書に基づき、被災者生活再建支援法による宮城県から被災者生活再建支援金の支給に関する事務の委託を受けた被災者生活再建支援法人から支援金を受領した。
ところが、被災状況は間違い、実際には支給に該当しないことが判明した。支援金の返還をめぐり支援法人(上告人)と支給を受けた者またはその相続人(被上告人ら)が争っている事案で最高裁第二小法廷は、支援法人は支給要件の認定に誤りがあることを理由として当該決定を取り消すことができると説示、原審の判決を否認した。本件本訴は、被上告人らが取り消し決定の取り消しを求める事案。反訴は、上告人が支援金相当額の不当利得返還を求める事案。
最高裁は判決の理由として▽支給決定は被災世帯該当性についての認定に誤りがあるという瑕疵を有する。この瑕疵は支援法の規定する支給要件の根幹に関わる▽各支給決定の効果を維持した場合には、東日本大震災により被害を受けた極めて多数の世帯の間において公平性が確保されないこととなり、支援金に係る制度の適正な運用ひいては当該制度それ自体に対する国民の信頼を害する▽世帯主らは新たな金員の拠出等を求められていない―などを挙げた。
■参考:最高裁判所|被災者生活再建支援金の支給決定をした被災者生活再建支援法人が
支給要件の認定に誤りがあることを理由として当該決定を取り消すことができるとされた事例|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90362