2021年4月より、中小企業においても「同一労働同一賃金」の対応が求められている。この制度は同じ企業に勤務する社員であるにも関わらず、正社員とパート労働者との間にある不合理な待遇格差をなくすことが目的の一つだ。
多くの企業では、正社員とパート労働者を同一に扱ってこなかった長期にわたる歴史があり、なかなか意識が変わらず制度の変更に戸惑う企業も少なくない。日本商工会議所と東京商工会議所は中小企業向けに同一労働同一賃金ガイドブックである「同一労働同一賃金まるわかりBOOK」を公開するなど、対応を後押しする動きもあるが、それでもなお多くの中小企業ではどのように対応すべきか戸惑っているようだ。
ましてやコロナ禍が長期化し、業績が悪化する企業も少なくない中、限られた原資をパート労働者に振り分けることへの抵抗感も根強い。しかし、不合理な待遇格差をめぐる訴訟も頻発している昨今、企業としてはそのようなリスクを避けるべきだ。そのためには基本給、各種手当、昇給、賞与、休暇など、様々な点において格差を無くす必要がある。厚生労働省が公表している同一労働同一賃金のガイドラインなどを参考にして、不合理な待遇格差をなくすよう心がける必要があるだろう。
■参考:日本商工会議所|「同一労働同一賃金まるわかりBOOK」を公開~ガイドラインや最新の裁判例を踏まえて、各待遇・手当ごとに企業の具体的な対応を解説~|
https://www.jcci.or.jp/news/2020/1130103000.html