審査請求人を所有者とする不実の登記がされている不動産を、滞納法人が請求人に取得させた行為が、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》の第三者に利益を与える処分に該当するとして、原処分庁が請求人に第二次納税義務の納付告知処分を行った上、国税を徴収するため督促処分を行い、不動産の差し押さえ処分をした。
請求人が、当該不動産は登記の原因である売買契約に基づいて請求人が取得したもので、滞納法人の所有不動産ではないから第三者に利益を与える処分はなかったなどとして原処分の全部の取り消しを求めた事案で、国税不服審判所は2年7月28日、当該不動産があたかも請求人所有の不動産だったかのような会計処理が行われており、所有権を請求人に取得させたとは認められないと判断。審査請求には理由があるとして処分の全部を取り消した。その他の原処分への審査請求は棄却。
審判所は、請求人を買い主として作成された不動産売買契約書について、処分証書ではないとして契約の成立を否認した上で、仮に契約が成立したと認められるとしても、内心の意思とは異なる意思表示について売り主は悪意だったといえるから、民法(改正前)第93条《心裡留保》ただし書の規定により無効と判断した。
■参考:国税不服審判所|請求人を所有者とする不実の登記の不動産を滞納法人が請求人に取得させた行為が、国税徴収法第39条の第三者への利益供与ではなく不動産の所有権を請求人に取得させたとは認められないと判断した事例|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/11/0303090000.html#a120