財務省が発表した令和2年の国際収支状況(速報)によると、「サービス収支」が赤字に転化したことなどから「経常収支」は黒字幅を縮小した。
「サービス収支」の赤字転化は「旅行収支」の黒字幅縮小などが要因。政府観光局によれば、新型コロナウイルスの影響で同年の訪日外国人旅行者数は411万5,900人と前年比87.1%、出国日本人数も317万4,200人と同84.2%とともに急減。その影響で「旅行収支」を含む「サービス収支」は前年比3兆6,610億円も悪化、3兆5,362億円の赤字に転化した。一方「貿易収支」は輸出が同8兆7,032億円減少し67兆3,277億円、輸入も11兆3,677億円減って64兆2,820億円となり、黒字幅が2兆6,645億円拡大して3兆0,457億円の黒字となった。
「貿易収支」の黒字幅拡大は、輸入額の減少が輸出額の減少を上回ったため。その結果、「貿易・サービス収支」は4,905億円の赤字となった。「第1次所得収支」は20兆7,175億円の黒字(黒字幅が6,780億円縮小)、一方「第2次所得収支」は2兆5,294億円の赤字(赤字幅が1兆1,539億円拡大)。以上より「経常収支」は17兆6,976億円の黒字となり、黒字幅が2兆8,283億円縮小した。
■参考:財務省|令和2年中 国際収支状況(速報)の概要|
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2020cy.htm