弁護士報酬含めるのは筋違い 土地売買の損害賠償―最高裁

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土地の売買契約を締結した売り主が買い主から手付金を得た直後に逐電。売り主の費用で建物を収去、担保権等を消滅させ、境界を指示・測量した上で残代金の支払いと引き換えに引き渡す契約がストップ。買い主が債務の完全な履行を求めるための事務等を弁護士に委任。弁護士は任務を全うした。

買い主が売買契約で債務不履行等が成立、報酬・その他弁護士が負担した費用については債務不履行等に基づく損害賠償債権を有すると主張、弁護士に対し損害賠償債権と売買契約の残代金債権とを対当額で相殺する意思表示をした。弁護士(上告人)が第三債務者である買い主(被上告人)に対し売買代金として各1,250万円余りと訴状送達の日の翌日からの遅延損害金の支払いを求める取り立て訴訟で最高裁第三小法廷は原判決と第1審判決を破棄、「被上告人らは上告人に対し各486万4,300円および支払い済みまで年6分の

金員を支払え」に変更した。原審は損害賠償債権を認め、弁護士報酬の額は972万8,600円を下らないとした上で上告人の請求を棄却。最高裁は、買い主は売り主に対し土地の引き渡しや所有権移転登記をすべき債務の履行を求めるための訴訟の提起等に係る弁護士報酬を、債務不履行に基づく損害賠償として請求できないとした。

■参考:最高裁判所|土地の売買契約の買主は売主に対し債務の履行を求めるための訴訟の提起等に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害賠償として請求できない(令和3年1月22日・第三小法廷)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89963