新型コロナウイルス感染症拡大に伴う特例により、雇用調整助成金の上限額が引き上げられている。その結果、当初の想定を遥かに超える多額な拠出を余儀なくされ、財源が枯渇しかけている。
積立金からの受入れや一般会計からの繰入れなどにより予算を確保しているが、そもそも雇用保険料で制度を維持すべきであることから、今後、雇用保険料率の引上げは避けられないと予想する向きも少なくない。
労使双方にとって、労働保険や社会保険の料率引上げは懐を直撃する大きな問題だ。労災保険料率については、昨年11月に令和3年度から5年度までの保険料率について現行のまま据え置くとされている。また、雇用保険料率については令和3年度については据置きとなる見込みだ。一方、すでに介護保険料率については現行の1.79%から1.80%への微増が見込まれている。4月からいきなり大幅な負担増とはならない見込みではあるが、いずれにしても財源不足のつけはいずれ労使双方に回ってくる可能性が高い。
コロナウイルス感染症については、我が国ではワクチン接種が始まっておらず、終息の見通しはいまだに立っていない。支出が増えれば当然に財源が不足するため、労使ともども今後の負担増を覚悟せざるを得ないだろう。
■参考:厚生労働省|令和令和3年度の労災保険率について~令和2年度から変更ありません~|