東京商工リサーチは「2020年の介護事業所の倒産調査」結果を発表した。それによると、介護事業所の倒産件数は前年比6.3%増の118件で、過去最多を更新した。
これまで老人福祉・介護業界の倒産は、人手不足や競争激化が主な要因だったが、20年は新型コロナウイルスの感染を恐れた利用者の手控えや感染防止対策費の負担増など、新型コロナが影響したとみられる。新型コロナ関連の倒産は7件だった。介護事業所のこれまでの年間最多は17年と19年の111件だった。
業種別で見ると、「訪問介護事業」が最も多い56件で、半数近くを占めた。次いでデイサービスを含む「通所・短期入所介護事業」が38件だった。「負債1億円未満」は94件、「従業員5人未満」は79件、「設立10年未満」は65件で、「設立から日が浅く、資金力のもろい小・零細事業者の倒産が大半を占め、息切れ倒産が目立った」(東京商工リサーチ)。同社は「今後、緊急事態宣言が各地に広がると、介護事業所は一層の厳しい環境を強いられる。コロナ禍の収束が見通せない中、21年も経営基盤のもろい介護事業所の淘汰と休廃業に歯止めが掛かる材料は見当たらず、倒産は増勢をたどる可能性が高い」と厳しい見方を示している。
■参考:東京商工リサーチ|2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況|
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200108_00.html