定年規定のない企業での 定年はどうなる?

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常時使用する従業員が10名未満であるなどの理由により、就業規則を作成していない企業は少なくない。従業員数が10名以上になっても規則を作りたがらない経営者も多い。自ら作った規則に縛られたくないという本音が見え隠れする。

そのような企業で従業員が高齢になり、当然のように60歳での定年を従業員に切り出したところ、そんな規定はないと反論され、では定年はどうすればいいのかとようやく事の重大さに気づくということがある。問題となるのが、労働条件の不利益変更の壁だ。すでに60歳に達している者を後から導入した就業規則で定めた60歳定年を理由に退職させることはできない。この場合、個別の労働契約書等により退職年齢を定めるなどの措置が必要となる。当然、従業員の同意を得ることが原則だ。

費用負担を嫌ったり、規則があることが経営的自由を損なうなどとして就業規則の作成を避ける経営者も少なくない。しかし、規則がないことが原因となり、終身の労働を保証する羽目にならないよう注意が必要だ。なお、懲戒処分についての定めがなければ、懲戒処分を行うこともできない。しばる規則がないことが生み出す経営的なしばり。皮肉なトラブルも起こりかねないことも理解しておきたい。