上告人(日本郵便)と期間の定めのある労働契約を締結し勤務した時給制契約社員である被上告人が、期間の定めのない契約を締結している労働者と被上告人との間で夏期休暇と冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(改正前)に違反すると主張、
上告人に対し不法行為に基づき損害賠償を求めるなどの事案で最高裁第一小法廷は、郵便の業務をする正社員に対して夏期冬期休暇を与える一方で、同じ業務の時給制契約社員に対して与えないという労働条件の相違は、同法20条にいう不合理と認められるものに当たると判断、上告を棄却した。
判断は原審と同じだが、所論が違う。最高裁は、有期労働者と無期労働者との賃金以外の労働条件の相違が不合理か否かの判断にあたっても個々の労働条件の趣旨を個別に考慮すべきだとし、休暇の取得の可否や取得し得る日数が正社員の勤続期間の長さに応じて定まるとはされておらず、時給制社員も業務の繁閑に関わらない勤務が見込まれていることから、休暇を与える趣旨は時給制社員にも妥当するとした。
また、両者間に20条所定の職務の内容や当該職務の内容、配置の変更の範囲、その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても、休暇に係る労働条件の相違があることは不合理といえるとした。
■参考:最高裁判所|夏期休暇及び冬期休暇を無期契約労働者に与えて有期契約労働者に対して与えないという労働条件の相違が労働契約法の不合理と認められるとされた事例(令和2年10月15日・第一小法廷・棄却)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89771