監事選取り消し求める実益ある 原判決破棄・差し戻す―最高裁

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中小企業等協同組合法に基づき設立された事業協同組合の役員ポストをめぐり組合側と組合員の1人(上告人)が争っている事案で最高裁第一小法廷は、

上告人による最初の理事・監事選およびその後の取り消し請求などについて訴えの利益なしとして却下した原判決を破棄、広島高裁に差し戻した。

28年の総会で理事選(選挙1)と監事選(選挙2)が行われ、30年の総会で選挙1・2で選出された理事・監事全員が任期満了により退任したとして理事選(選挙3)と監事選(選挙4)が行われた。上告人は選挙1・2の取り消しを求める訴えを提起。その後、選挙1が取り消されるべきものであることを理由とする選挙3・4の不存在確認請求を追加した。

最高裁は、事業協同組合の理事を選出する選挙の取り消しの訴えに、同選挙が取り消されるべきことを理由として後任理事または監事を選出する後行の選挙の効力を争う訴えが併合されている場合は、特段の事情がない限り先行選挙の取り消しの訴えの利益は消滅しないと説示。選挙1を取り消す旨の判決が確定し、選挙4に瑕疵があれば、選挙2で選出された監事が現在も権利義務を有することになり得るため(中小企業等協同組合法36条の2)、依然として選挙2の取り消しを求める実益があるとした。

■参考:最高裁判所所|総会決議無効確認等請求事件(令和2年9月3日・第一小法廷・破棄差戻)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89677