「今、あなたの会社の課題は何ですか」と経営者に尋ねると、「有能な人材です」という答えが多く返ってくる。
企業としては、有能な人材の基準を設定し、新規募集や人材育成をしたりする。後日その結果を尋ねると、「有能と思って採用したが、指示しなければ動かず、また指示しても素直に従う意欲がない」等の返事が返ってくる。このような時にいつも思うのは、「有能な人材」の基準が誤っていないだろうかという事だ。
例えば、採用の際の書類選考や面接で、学歴・職歴・信条等(知識・技能・経験・実績その他)を質問する。確かに、それらは大事な選考要素である。しかし、それが企業にどのように活用されるかは、採用側の勝手な想像かもしれない。
企業活動は、単に知識・アイデア・情報等を集積するだけでなく、それらを活用して収益を上げる行動をする事である。売上(利益)に結び付く行動が欠かせない。有能な人材の基準を簡略に言えば、「知識・技能・経験等を活用して、企業の収益活動(又はその支援)を意欲的に行う人」である。古人の言葉に、「朝から晩まで善い事を思っていても、何も善い事をしなければ善人とは言わない」とある。同じく、仕事上どんなに良い考えを持っていても、行動を起こさなければ有能な社員とは言わない。