Weeklyコラム 事前の準備が絶対

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中国古典『中庸』に、「事(こと)前に定まれば則ち困(くるし)まず、行ない前に定まれば則ち病(や)まず」(事業を起こすにも、それが前もって確定していれば、途中で苦しむことはない。行動するときも、前もって計画が定まっていれば、途中で迷わない)とある(金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫)。

公的機関等が主催する開業相談は、新型コロナの影響で減少している。筆者も時々相談員を引受けているが、全体として元気がない。その中から、人員削減策で退職した人(40歳・男性)の例を挙げてみる。この方は、これを機に思い切って何か商売を始めたいと言う。どんな商売を考えているのか質問すると、具体的には決まっていないと回答した。当然、事業計画(経営ビジョン・資金調達・収支計画等)は作成していない。

そこで、これまでの経験や実績を質問しながら、可能性のある商売を一緒に探ってみた。結果、そもそもどんな商売を開業するかを検討し、もし開業するとしたら事業計画書を作成することを指導した。さらに、開業する前に自ら知恵を絞ったり、関連店舗を見学したり、もう一度相談を受けたりする努力が絶対必要であることを力説した。もし、事前の開業準備に嫌気がさすようであれば、再就職を検討することを薦めた。