隠ぺいとまではいえず―不服審 相続税で原処分庁の主張却下

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審査請求人の母が、原処分庁の調査結果に基づき請求人の亡兄の相続に係る相続税について修正申告をしたところ、原処分庁が、申告漏れ相続財産のうち母が関与税理士に伝えなかった預金を母が隠ぺいし、相続財産として申告しなかったとして重加算税の賦課決定処分を行った。

母は隠ぺいを否定して、母の死亡に伴い納税義務を承継した請求人が原処分の一部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、審査請求には理由があるとして原処分の一部を取り消した。元年11月19日付裁決。

原処分庁は、亡母(相続人)が当初申告で計上しなかった相続財産の一部である被相続人名義の預金について、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たる旨主張。

審判所は▽相続人が相続財産であることを認識した上であえて関与税理士に伝えなかったとまでは認められない▽相続人は預金を、原処分庁が容易に把握し得ないような他の金融機関や相続人名義以外の口座などに入金したのではなく、預金の口座と同じ金融機関の相続人名義の口座に入金し、調査日現在も当該口座を解約していなかった。原処分庁をして発見を困難ならしめるような意図や行動によって、故意に当初申告の対象から除外したとまでは認め難いとした。

■参考:国税不服審判所|相続財産の一部について、相続人がその存在を認識しながら申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例(一部取消し・令和元年11月19日裁決)

https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0605030000.html#a117