新型コロナウイルス禍は、後継者難に悩んでいる中小企業の経営者が廃業を決断する引き金となりかねないとの懸念が高まっているが、事業の引き受け手がいない中小企業の廃業を防ぐため、銀行自ら受け皿ファンドを創設する動きが出始めた。
金融庁が事業承継なら事業会社への出資規制を解禁したこともあり、買収も視野に入れるという。報道によると、りそなホールディングスは2021年1月をめどに投資子会社を設立し、来春にもりそな銀行が100億円を出資して受け皿ファンドを設立する。対象はグループの顧客を中心に後継者が不在の中小企業。技術力に強みを持つ製造業や、高いブランド価値を持つサービス業などを想定。1件約10億~25億円、年2~3件の投資を予定。3年をめどに譲渡先を見つける。ファンドを通じ、事業承継先未定の取引先に原則として100%出資。経験豊富な中堅層以上の行員も派遣、単なるマッチングを超え、引受先を見つける責務を負う。
三重県の百五銀も30億円規模の事業承継ファンドを投資子会社と一緒に設立した。70歳以上で後継者が未定の中小企業は、25年に127万件に上ると予測されている。これを廃業予備軍とすれば、5年後には累計650万人の雇用と約22兆円のGDPを失う見通しだ。