企業会計基準委員会は投資信託の時価の算定に関する取扱いの検討を開始しているが、市場価格が存在せず、時価算定日における基準価格で解約できない投資信託も実務上の便法として基準価格を基礎として時価を算定することを容認する方向だ。
同委員会は昨年7月4日に時価算定会計基準等を公表しているが、投資信託の時価の算定に関しては、当面は従来の取扱いを踏襲し、改めて1年程度かけて検討することとしているものである。
基準価格を基礎に時価を算定することを容認する場合、同委員会では、時価算定会計基準と整合する評価基準が用いられていることを条件とする。具体的には、(1)IFRS又は米国会計基準により投資信託の財務諸表が作成されている場合(2)一般社団法人投資信託協会が定める「投資信託財産の評価及び計理等に関する規則」に従い投資信託に含まれる個々の金融資産の評価が行われている場合としている。
なお、実務上の便法を採用した場合には、基準価格に対する調整は行われないことになるため、時価のレベル別分類は求めないこととしている。この場合には実務上の便法を利用しており、時価のレベル別分類を行っていない旨などの注記が求められることになる。
■参考:企業会計基準委員会|第438回企業会計基準委員会の概要|
https://www.asb.or.jp/jp/project/proceedings/y2020/2020-0729.html