相続税の期限後申告書を提出した請求人に対して行われた重加算税の賦課決定処分について国税不服審判所は、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件は満たさないと裁決、処分の一部を取り消した。
▽原処分庁の求めに応じて請求人が提出した文書「相続についてのお尋ね」では、取得財産のうち記載のないものがあった。請求人は、当初はそれらの正確な金額を把握しておらず、判明後に訂正するつもりであったと主張。しかしお尋ね文書は、相続財産の概括的な金額を記載して任意で提出するものに過ぎないうえ、意図的に虚偽の記載をしたと認めるに足りる証拠は見当たらない。▽申告期限前、請求人は税理士無料相談会に2度参加し、姉に対しても申告等は税理士に頼まず自分で行いたいとの意思を示していたほか、原処分庁の職員による調査の初日には、請求人及びその姉が取得した財産をすべて記載した相続財産一覧表を提出している。単に過失によって申告期限を徒過してしまったと述べている。
審判所は、請求人に意図的な隠匿や無申告は認められず重加算税の賦課要件は満たさない一方、第66条の無申告加算税の賦課要件は満たし、処分のその他の部分も妥当であるとして、無申告加算税相当額を超える部分の金額が違法と判断した。
■参考:国税不服審判所|法定申告期限までに相続税の申告をしなかったことについて、重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例(一部取消し・令和元年12月18日裁決)
https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0605030200.html#a117_2