雇用調整助成金を巡っては、用意すべき資料や記載項目が多すぎるなど、多くの中小企業にとってハードルが高いことが問題視されてきた。徐々に簡易化されてはいるものの、それでも受給に及び腰な事業主も少なくない。
そのようなケースでは、休業させた従業員に対して休業手当を支払わないケースが跡を絶たない。会社都合での休業に対しては休業手当の支払いは事業主の義務であるが、支払余力がないことを理由に支払いを拒否するわけだ。厚生労働省はそのような休業手当を受けられない労働者の救済措置として新たな給付制度を創設する。それにより、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業主が休業させたにも関わらず、休業期間中に休業手当を受けられなかった労働者に対して、休業前賃金の80%(月額上限33万円)の新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を支給することになる。
現時点での懸念事項は、平均賃金の60%の休業手当よりも上記の支援金の方が受給額が多いのではないか、事業主の休業手当の支払義務が免除されないとすれば支援金受給後、労働者が休業手当を請求することができるのではないかなどがあげられている。詳細については今後の情報開示を待つ必要があるだろう。
■参考:厚生労働省|雇用調整助成金の拡充と新たな個人給付制度の創設について|
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000633866.pdf