原処分庁が、審査請求人に交付された外国法人の株式は剰余金の配当に当たるなどとして所得税等の更正処分等をした。請求人が実質的な利益は発生していないなどとして処分の一部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は配当所得に該当するとして請求を棄却した。
元年8月1日付裁決。請求人が株式を保有していた米国法人が事業分割し、2社の独立した法人となった。承継した法人の株式交付を受けたことについて請求人は▽分割前と分割後の2社の株価の合計額がほぼ同等。分割の前後に全体の株式価値の増減は見られない▽分割について米国の課税上、2社双方の株主が非課税扱いとされていた―とし、株式交付で請求人は所得を得ておらず、日本の所得税法第24条《配当所得》第1項の剰余金の配当に該当しない旨主張。
審判所は▽本件株式は当該米国法人の株主としての地位を有する者に対し、同法人の利益剰余金を原資として交付された▽米国における課税上の取り扱いは日本の課税上の取り扱いに影響を及ぼさない▽事業分割は日本の会社法上の分割に相当する法的効果を具備するとはいえず、法人税法第2条《定義》第12号の9に規定する分割型分割には当たらない―とし、所得税法第24条第1項に規定する剰余金の配当に該当する―とした。
■参考:国税不服審判所|外国法人の事業分割に伴う株式の交付が配当所得に該当するとした事例(棄却・令和元年8月1日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0201010000.html#a116