家屋を所有、固定資産税と都市計画税を納付してきた上告人が、建築当初の昭和58年に行われた家屋の評価等に誤りがあり、その後の各年度に過大な税が課されたなどと主張。
被上告人に対し国家賠償法1条1項に基づき税の過納金と弁護士費用相当額等の損害賠償を求める事案で最高裁第三小法廷は原判決中、平成4年度から20年度までの税に関する部分を破棄、東京高裁に差し戻した。損害賠償請求権について同法4条、民法724条後段所定の除斥期間が経過したか否か、具体的には起算点である「不法行為の時」がいつかが争われている。原審は、昭和58年の建築当初の評価行為と価格決定時と解するのが相当とした。
最高裁は▽評価の誤りに基づきある年度の税額が過大に決定されたことによる除斥期間は、当該年度の賦課決定がされ、所有者に納税通知書が交付された時からと解するのが相当▽本件家屋の新築部分の評価の誤りに基づき各年度の税額が過大に決定されたことを理由とする上告人の請求権については年度ごとに、当該年度の納税通知書が交付された時から除斥期間が進行する▽交付の具体的な時点はいずれも明らかでないが、訴訟が提起された平成25年1月27日の時点で20年を経過していなかったものがあると考えられる―とした。
■参考:最高裁判所|固定資産税等の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権に係る民法724条後段所定の除斥期間(令和2年3月24日・第三小法廷)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89345