所有者不明土地が全国的に増加し、固定資産税の課税においても所有者情報の円滑な把握等が課題となる中、今回の改正では以下の対応が行われることとなった。
1)現に所有している者の申告の制度化:登記簿上の所有者が死亡している場合、市町村長は条例により、その土地又は家屋を現に所有している者に対して固定資産税の賦課徴収に必要な事項を申告させることができるとし、当該申告について、固定資産税における他の申告制度と同様の罰則を設ける。登記とは別に、遺産相続などで相続の対象となる人物を、市町村に申告するよう義務づけられることとなる。
2)使用者を所有者とみなす制度の拡大:登記簿に所有者個人を特定するための情報が記されていない変則的な登記の場合ほか、一定の調査を尽くしてもなお所有者が一人も明らかとならない所有者不明の土地又は家屋に対し、市町村はその使用者に通知した上、当該使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、課税することができるとする。
1)は本年4月1日以後の条例施行日以後に現所有者であることを知った者について、2)は来年度以後の年度分の固定資産税について、それぞれ適用する。適用があった場合に、過年度分まで遡及して納付義務が生じるかどうかは今後注目される。
■参考:財務省|「令和2年度税制改正(案)のポイント」(令和2年1月)|
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian20.htm