医療法人の発行した“割引債”の償還差益は源泉分離課税により納税が完結するとして、審査請求人が差益に係る所得を確定申告書に記載せずに申告したところ、原処分庁が▽割引債に該当せず、差益は時の経過とともに日々実現▽28年中に実現したものは同年分の雑所得の総収入金額に算入すべし―として更正処分等を行った。
請求人がその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、差益は貸付金利息、期間の経過により直ちに利息債権が発生し収入の原因となる権利が確定すると裁決した。元年5月30日付。請求人の言う割引債は社債と題する書面。契約では償還日までは額面金額と発行価額との差益の支払いを請求できない。請求人は差益の収入すべき時期は償還日である旨主張。
審判所は同契約について▽償還日を弁済期として請求人が払い込んだ金員(払込金)を貸し付けた契約。差益は医療法人が弁済期まで払込金を使用する対価、すなわち利息▽貸付金利息は元本利用の対価。元本の返還まで日々発生。特段の事情のない限り、支払いの有無を問わず、期間の経過により利息債権が発生し収入の原因となる権利が確定▽1月1日から12月31日までの期間に対応する部分は、その年分の雑所得に係る総収入金額に算入すべし―とした。
■参考:国税不服審判所|額面金額と発行価額との差益は貸付金利息であると認められ、利息債権が確定するとした事例(令和元年5月30日・一部取消し)
http://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0302070000.html#a115