「労働基準法の一部を改正する法律案」が閣議決定された。今回の改正は民法の一部を改正する法律により、従業員の給料に係る短期消滅時効が廃止されることや、労働政策審議会の建議等を踏まえたもので、労働基準法においても賃金請求権の消滅時効期間等を延長することになる(ただし、当分の間、経過措置が講じられる)。
具体的には従業員の給料等の賃金請求権の消滅時効を5年(当面の間は3年)に延長するほか、賃金台帳等の記録の保存期間、割増賃金未払い等に係る付加金の請求期間も同様に5年となる(こちらも当面の間は3年)。本改正は令和2年4月施行予定だ。割増賃金が時給換算で2000円の場合で、3年間残業代が年間500時間分未払いだった場合、企業の負担は従来は2年分の200万円であったが、本改正により支払額は100万円増えることになる。当然、事業場全体で複数人についてそのような事態が発生した場合はさらに負担は増えることになる。
未払い残業については短期的な資金難を理由になかなか根絶しきれていないのが現実だ。問題が発覚した場合は多額の現金が必要となることもあり、一気に財政的に破綻しかねない大問題となるリスクを理解しておくべきだろう。
■参考:厚生労働省|労働基準法の一部を改正する法律案の概要|
https://www.mhlw.go.jp/content/000591650.pdf