昨今、問題になりがちなパワハラ。やった側からすると正当な指導の範囲であるという主張がなされがちだが、この手のハラスメント問題はやられた側がどう受け取るかといった主観的な判断で問題化するかしないかが決まる傾向がある。もちろん、いざ訴訟等になれば、客観的な事実をどう評価するかが問われるわけだが、いずれにせよ問題となりがちな言動は避けた方がいいだろう。
上司によるパワハラが原因でうつ病を発症、その後自殺した元従業員の親族が起こした損害賠償請求裁判で、上司と会社に対して7200万円の支払いを命じる判決が下された。パワハラ認定の決め手となったのが、元従業員が書き記していた上司の言動。「死んでしまえばいい」、「辞めればいい」、「毎日同じことを言う身にもなれ」、「学生気分はさっさと捨てろ」等の言動を「典型的なパワハ ラ」と認定、仕事上のミスに対する叱責の域を超え、人格を否定、圧迫するものと判断された。会社に対しても、この上司を管理する責任があったと判断されている。
なお、会社と上司側はこれらの言動は指導の範囲を超えていない、仕事で注意すること自体がパワハラになってしまうとして控訴しており、今 後、上級審での判断がどのようになるのか注目される。