無限責任社員は支払い債務負う 原判決否定、差し戻す―最高裁

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亡父Aが所有する一切の財産を長男に相続させる旨の遺言をした。遺留分が侵害されたと長女が主張、長男が上告人、長女が被上告人となって争っている事案で最高裁第三小法廷は、原判決中▽被上告人の請求を認容した部分▽上告人の相殺の抗弁を認めて被上告人の上告人に対する172万4,773円の不当利得返還請求と遅延損害金の支払い請求を棄却した部分―を棄却、この部分につき名古屋高裁に差し戻した。

被上告人は不動産について、遺留分減殺を原因とする持ち分移転登記手続きを求めるとともに、上告人が取得した財産の一部について不当利得の返還等を請求。被上告人の遺留分侵害額の算定に関し、合資会社の無限責任社員だったAが退社により会社に対して金員支払い債務を負うか否かが争点。退社当時、会社は債務超過の状態にあった。原審は、無限責任社員は退社により金員支払い債務を負はないとした。

最高裁は、無限責任社員が負担すべき損失の額が当該社員の出資の価額を超える場合には、定款に別段の定めがあるなどの特段の事情のない限り、当該社員は会社に対して超過額を支払わなければならず、Aが金員支払い債務を負うか否か、これを考慮した被上告人の遺留分の侵害額等についてさらに審理を尽くすよう求めた。

■参考:最高裁判所|遺留分減殺請求事件・令和元年12月24日・第三小法廷・破棄差戻)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89113