賃貸用建物を、入居者がいる状態で売買する「オーナーチェンジ」が近年、広く行われている。賃借権によって自己使用に制限があることから空室の物件よりも取引価額が安くなることに加え、新たに入居者を探す手間を省けるなどの利点があるため不動産投資を目的として行われることも多い。
実務では、賃貸借期間の中途で貸主に変更(地位承継)があった場合に、消費税率の引上げに係る資産の貸付けに関する経過措置の適用対象外になると考える向きもあるが、旧貸主と入居者との間で締結した契約の内容に変更がなくそのまま新貸主に引き継がれているのであれば、従前からの賃貸借契約が継続していることになるため経過措置の適用も継続することとなる。
実際に賃貸用物件のオーナーチェンジでは新たに契約を結び直すのではなく、入居者に対する通知等で対応するケースが一般的。多くの場合はオーナーチェンジ後も経過措置の適用が継続すると考えられる。
一方、旧貸主と新貸主、入居者との間で覚書を交わすなど、新たな契約が締結された場合には、その契約に基づいて経過措置の適用を判断することとなる。従って契約の締結日が8%指定日(25年10月1日)以後であれば、26年4月1日以後分は新税率8%が適用されることとなる。