金融庁は10月25日、監査法人のローテーション制度に関する調査報告(第二次報告)を公表した。
調査報告によると、パートナーローテーション等の運用実態に関しては、監査補助者として長く監査チームに所属していた者が引き続き業務執行社員に就任するなど、パートナーローテーションを遵守しているとしたが、パートナーローテーションが形式的に運用された場合には、「新たな視点での会計監査」という制度導入時に期待された効果を必ずしも十分に発揮できない可能性があると指摘した。
また、実際に監査法人の交代を行った企業についての調査では、交代に際し、十分な準備期間の確保や体制整備などにより、監査法人の交代を円滑に行うことが可能であることが明らかになったとした。しかし、監査市場が寡占状態にある中での交代の実務上の困難さという点に関しては、監査法人のローテーション制度の検討に際し、引き続き、重要な課題であることが確認されたとしている。
なお、今回の調査報告を受け、日本公認会計士協会の手塚正彦会長は、「監査人の独立性強化に向けて」と題する会長声明を公表。会長声明では、パートナーローテーションの適切な運用によって、「新たな視点」での監査に活用すべきなどとした。
■参考:金融庁|監査法人のローテーション制度に関する調査報告・(第二次報告) の公表について|
https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20191025_auditfirmrotation.html