かつて、教育者・哲学者の森信三先生が立腰教育(姿勢を良くする教育)を唱えた事がある。子供たちは、姿勢を正しくする事によって、健康や学業成績が良くなったり、素行が改善したりする等というものである。
筆者も日頃から姿勢を正しくする事を心掛けているが、企業の経営姿勢を正す事も非常に重要ではなかろうかと思う。そこで、企業が姿勢を正すとは、具体的にどんな心掛けなのかを考えてみたい。
第一に、代表はコンプライアンス(法令・規則・社会的規範等の遵守)である。不正な情報漏洩、産地等の偽装、意図的な脱税、パワハラ等は、企業経営に致命的なダメージを招く事がある。第二は、経営上の道徳(道義上の責任)を守る事である。資本主義経済は利益の追求を一応許すが、あくまで消費者・取引先・従業員等の健康や信頼等を害す事は許されない。第三は、世の中のあらゆる変化を積極的に受入れて対応する姿勢である。
「窮・変・通」(窮すれば変じ、変ずれば通じる)という言葉があるが、たとえ苦痛でも変化をした時が発展の契機であり、時流に乗るチャンスかもしれない。大切な経営姿勢の要素は、企業により多種多様である。要は少なくても年に数回節目ごとに、身体と同じように上記のような事柄について姿勢を正す事が役立つ。