鳴門競艇従事員共済会が臨時従事員に支給する離職せん別金に充てるため、鳴門市が共済会に補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為に当たるなどとして、住民ら(被上告人)が
地方自治法242条の2第1項4号に基づき市長(上告人)を相手に、損害賠償請求とともに、公営企業管理者企業局長(上告人)を相手に、当時の局長と局次長に対して損害賠償請求をすること等を、それぞれ求める住民訴訟で、最高裁第一小法廷は住民側の請求を退けた。
最高裁は▽市の経営する競艇事業の予算に違法な内容が含まれていた場合において、市長が市に対し当該予算を調製したことを理由として不法行為に基づく損害賠償責任を負うとはいえない▽市の経営する競艇事業の管理者が違法な補助金の交付を決定した場合において、当該管理者を補助すべき立場にある職員が市に対し上記の決定に関与したことを理由として不法行為に基づく損害賠償責任を負うとはいえない―と説示した。
この事件で第1次控訴審は被上告人らの主張をいずれも棄却。第1次上告審は同控訴審判決を破棄し、原審(高松高裁)に差し戻した。原審は、市長に対する請求を容認するなど、被上告人の主張に沿った判決を下した。
■参考:最高裁判所|鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件(令和元年10月17日・第一小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88979