国税庁はこのほど公表した「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の中で、配偶者居住権が消滅した場合についての取扱いを示した。
配偶者居住権が、配偶者と建物等所有者との間の合意により解除された場合、あるいは配偶者が放棄した場合に、建物等所有者が対価を支払わなかったとき、または著しく低い価額の対価を支払ったときは、配偶者からの「贈与」として取り扱われることとなり、贈与税が課されることとなった。配偶者居住権が消滅したことにより、使用収益する権利が建物等所有者に移転すると考えられるため。原則として、建物等所有者が、配偶者居住権の消滅直前に、配偶者が有していた配偶者居住権の価額に相当する利益、または土地を配偶者居住権に基づき使用する権利の価額に相当する利益に相当する金額(対価の支払いがあった場合には、その価額を控除した金額)を、配偶者から贈与により取得したものとして取り扱われることになる。
なお、配偶者の死亡及び賃貸借期間の満了、並びに、賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了により配偶者居住権が消滅した場合には、上記の取り扱いはない。
配偶者居住権に伴う改正は、令和2年4月1日以後に開始する相続で取得する財産に係る相続税に適用される。
■参考:国税庁|相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)|
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku/kaisei/1907xx/pdf/001.pdf