希望すれば70歳まで勤められるようにする為の法律(「高年齢者雇用安定法」)改正案が発表された。現在よりも5年長く勤められる。政府の調査では、65歳~69歳の高年齢者の65%が「仕事をしたい」と感じているそうだ(日本経済新聞2019.5.16朝刊参照)。
近年、生産年齢人口が大きく減少している事を考慮すれば、有効な対策であろう。問題は、70歳くらいまで勤めたいと感じる理由である。生産活動に出来るだけ長く参加して生きがいを維持したい、元気なうちは長く働く事が健康維持に役立つ等と考える人は、定年延長を歓迎する。
他方、定年後の年金額や健康状態に不安がある人は、労働から解放される年齢が5年延びて、安楽な老後生活が遠のく事を懸念するのではなかろうか。また、従来は定年後に経験や資格を活かして創業していた人が減るかもしれない。さらに、シニア(60歳以上)が増えれば、企業の一部で労務管理や採算性が厳しくなる事が予想される。
従業員の平均年齢が上がり、仕事の効率性が下がる可能性がある。勤める側から判断して、一般に定年の延長は歓迎される。各自の生活環境や健康状態等の事情に応じて、65歳から70歳までの勤務(企業が認めれば、年齢制限無し)が自由に選べる事が重要だ。