「序破急」(じょ・は・きゅう)とは、元々は舞楽の用語で、申楽や能楽等の演芸でも重んぜられた。物事の緩急の流れ法則で、「はじめ」「なか」「おわり」の3段階を表す。
一般に、「はじめ」はゆっくりと進む。序破急を、例えば人材育成プログラムに当てはめてみる。「序」(はじめ)は新入社員教育で初歩的な礼儀作法や接客技法等の習得をゆっくり確実にする事が重要だ。これを急いだり、省いたりすると、その後いくら励んでも職務が順調に進まない事になる。例えば、販売経験が長いと言いながら、接客の基本が全く出来ていない事がある。また、人材育成の「破」(なか)も大切である。初歩を習得後、次の段階に中々進めない人がいる。自己流の殻に閉じこもって自らの工夫で仕事を展開する積極性が持てない。自己啓発に励む必要がある時期でもある。この段階は、職務能力の充実とリーダーシップの発揮が求められる時期である。「急」(おわり)は、まとめ役や経営者として、迅速な意思決定、臨機応変の行動力や自己修養が必要である。
以上は、研修や講演で話すスピード等に応用が出来、「はじめ」はゆっくり、「なか」は具体的で分かり易く、「おわり」は短く軽快に展開する(能楽の「序破急」については、世阿弥が書いた『風姿花伝』等を参照)。