規則203条所定の事由なし 移送決定を取り消す―最高裁

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上告裁である高松高裁が民訴法324条に基づき請求異議事件を最高裁に移送する旨の決定をしたのに対し、最高裁第三小法廷は同決定を取り消した。

債権執行の申し立てをした債権者が執行の手続きにおいて配当等により請求債権の一部について満足を得た後に申し立てを取り下げた。高松高裁は、差し押さえによる時効中断の効力が民法154条により初めから生じなかったと解するのは相当でないと判断。このような法令解釈に関する意見は11年9月9日最高裁第一小法廷判決と相反するとして民訴規則203条所定の事由があるとして最高裁に移送した。

最高裁は、事由の有無についての高裁の判断と最高裁の判断が異なる場合には最高裁の判断が優先し、最高裁は203条所定の事由があるとしてされた324条に基づく移送決定について、事由がないと認める時は取り消すことができると解するのが相当だと説示。11年判決は、担保不動産競売の申し立てをした債権者が競売の手続きにおいて請求債権の一部または全部の満足を得ることなく申し立てを取り下げた場合について判断したもので、本件意見とは前提を異にしており、本件意見は11年判決と相反するものではなく、203条所定の事由はないと認められるとした。

■参考:最高裁判所|請求異議事件(平成30年12月18日・第三小法廷)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88206