Weeklyコラム 戦う企業の継続性

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「戦いに勝つ事はそれほど難しくないが、勝ち続ける事は難しい」。10回勝ち続けて、最後に1回負けて破滅という場合もある。

X社(ドラッグストアチェーン)は、勢いに乗って競合の激しい首都圏郊外に出店し、創業社長の経営ビジョン(5年間で50店舗展開)を次々に実現した。出店した各店舗が地域一番店を目指して、店舗面積や売上規模で他店との競争に挑戦して勝利した。ところが、同じ商圏に大手のチェーンが積極的に出店を始めると客数や売上が激減し、瞬く間に資金繰りが行き詰ってしまった。X社の戦う姿勢は強力であったが、守りの態勢に入ると対抗の武器は何も無かった。

孫子兵法と並んで有名な中国戦国時代の名将「呉起」(書名は呉子)に、次の言葉がある(天野鎮雄著・三浦吉明編、新書漢文大系『孫子・呉子』明治書院発行より引用)。「天下の戦いをする国で、戦争して5回勝つ者は災難があり、4回勝つ者は疲弊し、3回勝つ者は覇者となり、2回勝つ者は王となり、1回勝つ者は帝となる、と。そんなわけで、戦争をしてしばしば勝って、天下を得る者はまれであり、滅亡する者のほうが多い」。人も、企業も、国家も、無闇に他と争えば、最初は戦いに勝ったとしても、最後は破滅の道を辿る事になるかもしれない。