公序良俗に反する無効な契約により給付を受けた金銭の返還について、同給付が不法原因給付に当たることを理由として拒否できるかどうかが争われた事案で最高裁第三小法廷は、拒むことは信義則上許されないとし、不法原因給付を認容、返還請求を棄却した原判決を破棄するとともに、第1審判決を取り消した。
その上で、給付を受けた者に対して給付額の一部および遅延損害金の支払いを命じた。原判決および第1審判決は、争いの元となった給付は不法原因給付に当たり、上告人は民法708条の規定により返還を請求できないとの判断を示していた。問題の給付は、新規の会員から集めた出資金を、先に会員となった者への配当金の支払いに充てる金銭の配当組織と結んだ契約に基づくもの。これは無限連鎖講に該当し違法、組織は破産し、破産管財人が給付を受けた者に対し、不当利得返還請求権に基づき給付額の一部や遅延損害金の支払いを請求していた。
最高裁は配当金について、▽破産管財人が返還を求め、損失を受けた会員らを含む破産債権者への配当を行うなど、適正かつ公平な清算を図ろうとすることは衡平にかなう▽返還を拒めるとしたら、他の会員の損失の下に不当な利益の保持を是認することになる―などと説示した。
■参考:最高裁判所| 不当利得返還等請求事件 平成26年10月28日 第三小法廷 |
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84582