厚生労働省は平成29年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめた。過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレス等が原因で発病した精神障害の件数が増えている状況を踏まえ、同省では平成14年から労災請求件数や業務上疾病と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数等を公表しているが、昨今の情勢を踏まえ、今年については過去4年間分の裁量労働制対象者についての資料も公表している。
公表された資料によると、脳・心臓疾患に関する事案の請求件数は840件(前年度比15件増)で、平成26年度から3年連続の増加となる。そのうち、支給決定件数は253 件(同7件減)、 うち死亡件数92件(同15件減)となった。業種別では運輸業・郵便業が最多で、以下卸売業・小売業、宿泊・飲食サービス業が続く。一方、精神障害事案の請求件数は1,732件(同146件増)、そのうち未遂を含む自殺件数は221件(同23件増)で、支給決定件数は506件(同8件増)だった。
裁量労働制対象者については、脳・心臓疾患における支給決定件数は6件で、そのすべてが専門業務型だった。精神障害は同19件で、専門業務型が15件、企画業務型が4件となっている。