Weeklyコラム 三拍子揃う前に

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新規創業を考えている人のうちで、実現する人と実現しない人の違いは何であろうか。創業の構想(経営理念・ビジョン・資金調達方法・収支計画等)と将来の夢を持っている人は、実現の見込みが大きい。実現しない人は、創業の計画が曖昧であるか、創業の計画に完全性を求め過ぎるようだ。

A氏(某社に勤務中)からリサイクルショップの創業相談をうけたが、2年経った現在も実現していない。最初の相談の時、A氏は40頁くらいの計画書を持って来た。ビジョン・資金計画・収支計画・販売仕入計画等が詳細に立案されていた。その後も計画に修正を加え、いよいよ実現の日が近いと思ったら、「従業員の不正が心配」「盗難や苦情が心配」「商品の鑑定や査定に自信が無い」「失敗したら家族の生活が心配」等と、次々に不安を言うようになった。A氏のような心配は、創業を考える者のほとんどが多かれ少なかれ抱く事柄である。各自の性格や環境によっても異なるが、創業の準備の程度にもバランスが必要だ。粗雑な計画策定又は計画を策定しない思い付きだけの創業も危険であるが、完全無欠の準備を目指した創業は妄想が生じて実現が難しい。創業の実現は、一応の構想や計画を練った後、三拍子揃う前に思い切った決断を下す心構えが求められる。