Weeklyコラム 職業選択の迷い

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新卒による就職、転職による就職、定年後の就職や創業等、人は何を基準に職業を選択するのだろうか。新卒であれば、自己の専攻・特技・資格・性格等、就職先の業種・待遇・将来性・通勤地等であろうか。

ここまでは、職業選択の際に誰でも考えたり迷ったりする事柄かもしれない。しかし、筆者の経験では、選択の基準として大きな要素が抜けているように思う。実は多くの人が自分の好きな仕事に就きたいと考えているのではなかろうか。この段階で妥協して、特別好きではないが(嫌いではない)、企業の規模や待遇等を優先して選択してしまう人もいる。さらに、企業や職務等が好きだからという理由で就職したものの、予想外の困難等に出会って、楽しく仕事が出来なくなる場合もある。『論語』(金谷治訳注、岩波文庫)にも、「これを知る者は好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」(知っているというのは好むのには及ばない。好むというのは楽しむのには及ばない)、とある。

好きな仕事を選択する事は賢明である。しかし、当初から好きかどうかよりも、要は仕事を続けているうちにやりがいが持てる事である。やりがいがあって初めて、本当の仕事の楽しさが生まれる。その時に、職業選択の迷いが消えるのかもしれない。