好調な賃上げ状況 中小企業でも賃金改善が顕著に

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「3%」という数字が独り歩きしている印象のある今年の賃上げだが、各労働組合の発表を見る限り、ここまでの賃上げ状況は好調のようだ。賃上げ水準について、連合は「回答水準は昨年水準を上回る基調にあり、追い風となる成果」としている。

各組合の状況を見てみると、金属労協では過去3年間で最も高い水準の賃上げ回答となり、自動車総連においてもほとんどの組合で昨年を上回る賃金改善分を獲得している。多くの中小労組を抱えるJAMでも3月13日時点において、賃金改善分を引き出した組合員数300人未満の単組数は過去3年で最多となり、賃金改善額の全体平均、100人未満の賃金改善額の平均はともに過去3年で最も高い水準となっている。全体として賃上げ基調にあるのは間違いないようだが、すべての中小企業においてそうだとは言えないのも事実だろう。

正社員より労働条件を下げていた非正規社員の処遇改善や4月からの無期雇用契約の本格化を控え、従来以上に人件費が増える要素が揃っている。一方で、原資がないから賃上げできないの一点張りで突破できる時代ではもうない。生産性を上げて収益力を高め、人件費に振り分ける策を講じなければ人材の流出も避けられない結果となるだろう。