報道によると財務省は、一定以上の資産を有する富裕層が出国し非居住者となる場合に、出国時の含み益に特例的に課税する措置を講じる方針を固めた。早ければ平成27年度税制改正で対応する。
租税条約上、株式等の含み益は、株式等を売却した人が居住している国に課税権があるとされているが、巨額の含み益がある株式等を保有したままキャピタルゲインへの課税がない国へ出国して非居住者となり、その後売却すると税負担の回避が可能となる。米英独仏などの先進諸国では、既に特例的な課税を実施。ただ、納税資金が十分でない可能性があることなどから多くの国で延納制度や納税猶予制度が設けられているほか、出国後一定期間内に売却せず帰国した場合は課税を免除する国もある。9月に公表されたOECDのBEPS行動計画の第一弾報告書では、条約との関係で国内法が確実に適用できるよう適切な措置を講じるよう各国に勧告。特例を租税回避防止措置(ニ重非課税の防止)と位置づけており、日本での改正もこの勧告に沿ったものとなる。日本からキャピタルゲイン非課税国への永住者は増加傾向にあり、シンガポール、香港、ニュージーランド、スイスの4カ国への永住者だけでも25年10月時点で1万7000人以上に上る。