ある大きな会合に行った時のこと、「名刺はこの机の上に置いて下さい。また、自由にお取り下さい」という表示があった。何名かの名刺が置いてあったが、このコーナーに名刺を置く人も取る人も少なかった。会合等で無闇に名刺を配る人がいる。ただ知名度を上げることが目的であれば良いが、一般の商活動においては余り意味が無い。少数の者同士が自己紹介する場合や、話の経過からお互いの所属や住所が必要になって名刺交換するような場合は意義がある。
一般に名刺交換は自己の所属や氏名を明かす為に行うが、自己を印象付ける為に、出身地・顔写真・趣味・信条・多くの肩書等を目立つように入れている名刺もある。中には、豊かな人脈形成を目指して毎月配る枚数(例えば百枚)にノルマを課している人もいる。業種の種類によっては役立つが、「相手の購買力や人脈を利用しよう」という、自己都合だけを主張しているように思われるかもしれない。一度名刺交換した人から、セールスで訪問されたり、何か頼み事をされたりして戸惑ったこともある。 名刺交換の役目は、お互いの身元を明らかにして、相手に役立ち自分には負担となるような付き合いから始める認識をすることだ。「ギブ・アンド・テイク」のうち、ギブの行動が先行しなければならない。