京都市(被上告人)が制定した市営住宅条例24条1項が、国の住宅地区改良法29条1項、公営住宅法48条に違反し違法、無効か否かが主な争点となった上告審で最高裁第一小法廷は、条例は国の法の規定や趣旨に照らして不合理とは認められず、違法、無効とはいえないとして上告を棄却、上告人による住宅の使用権の承継を否定した原審の判断を追認した。
条例は、改良住宅の入居者が死亡した場合、死亡時に入居者と同居し、入居の承認に際して同居を認められていた者、または同居の承認を受けて同居している者は、市長の承認を得て引き続き居住できる旨を規定。上告人が改良住宅を使用する権利を母から承継したなどと主張、使用権と賃料額の確認等を求めたのに対し、市が明け渡しと賃料相当損害金の支払い等を求めて反訴した。上告人は同居の承認申請をしなかった。
最高裁は、国の補助を受けて建設された改良住宅の入居者が死亡した場合における使用権の承継については、民法の相続の規定が当然に適用されるわけではなく、施行者が国の法の規定や趣旨に違反しない限り、管理について必要な事項として条例で定めることができるとした上で、条例は入居者死亡時における使用権の承継を死亡時同居者に限定したものと解されると判断した。
■参考:最高裁判所|居住確認等請求本訴,家屋明渡等請求反訴事件(平成29年12月21日・第一小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87333