請求人らが相続により取得した財産の価額について、財産評価基本通達に定める方法により評価して相続税の申告をしたところ原処分庁が、一部の土地と建物の価額は評価通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められるとして、国税庁長官の指示を受けて評価した価額により相続税の各更正処分等をした。
請求人らが原処分の全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は5月23日付で、一部の不動産については評価通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められ、不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当だと裁決、請求を棄却した。
被相続人は、多額の借入金により不動産を取得することで相続税の負担を免れることを認識した上で、当該負担の軽減を主たる目的として不動産を取得したと推認される行為を行った。審判所は同行為について、他の納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、富の再分配で経済的平等を実現するという相続税の目的に反し、ならびに評価通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことで、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかだとし、評価通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められると判断した。
■参考:国税不服審判所|財産評価基本通達によらないことが相当と認められるとした事例(平成29年5月23日裁決)
http://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0701030000.html#a107