金融庁、財務省および経済産業省は、商工組合中央金庫が危機対応融資の審査にあたって行った試算表等の改ざん・自作の不正行為について、株式会社商工組合中央金庫法第59条に基づき行政処分を行った。
内容は(1)法令等順守態勢、経営管理態勢および内部管理態勢等の抜本的な見直し(2)危機対応業務の要件に該当しない案件について取引先に不利益を及ぼさないよう適切かつ速やかな手続きの実行、および日本政策金融公庫との損害担保契約の解除や既に支払いのあった利子補給金等の日本公庫への速やかな返還等の適切な対応(3)上記に係る業務の改善計画策定と速やかな提出―など。59条で定められた命令に基づき商工中金が実施した全件調査で、危機対応融資の審査にあたって必要となる試算表等を改ざん・自作する不正行為が全100営業店中、97営業店で444人が関与、4,609件(融資実行額で2,646億円相当)行われていた。危機対応業務以外でも、関係書類の改ざん・自作等の不正行為が行われていた。
政府系金融機関の役割は民業補完であるにもかかわらず、経営陣と本部は危機対応融資を他の金融機関との競争上、優位性のある「武器」と認識し、収益や営業基盤の維持・拡大に利用していた。
■参考:金融庁|株式会社商工組合中央金庫に対する行政処分について|
http://www.fsa.go.jp/news/29/ginkou/20171025.html