社会保険については、年金事務所による調査の強化により未加入企業の指導が強化され、結果として被保険者数がここ数年で大きく伸びたことが話題になったところだ。加入義務がある企業の未加入は論外だが、加入済み企業でもあの手この手で社会保険料を抑えようとする動きがあるのも事実だろう。
先般、日本年金機構の調査により、ダミー会社を通じて給与の一部を支給することで実際の給与額より低額の報酬による社会保険加入を行っていた企業が発覚した。会社側は社会保険労務士による提案だとしているが、理由のいかんを問わずこのような悪質な社会保険料逃れについては、今後調査が強化される方針だ。今回のケースでは6,000万円超の保険料が納付を免れていた。複数の事業所を通じて給与を分散させて支払うことで社会保険料を抑えようとする手法はよくある話だ。
最近では役員の事前確定届出給与を利用して、高額な賞与を支給することで社会保険料を抑える手法を指導するセミナーの存在も指摘されている。いずれのケースでもリスクがまったくないとは言い切れないだろう。保険料率が高すぎるからという言い分は心情として理解できなくもないが、法律の前ではまったく通じないことを肝に銘じるべきだ。