金融庁は30年度税制改正要望項目をまとめ、29年度に続き、高齢者が老後資金のために蓄えた資産を安心して保有し続けることのできる環境を整備する観点から、相続税に係る見直しを行うことを求めた。
同庁は相続税について▽相続財産となった上場株式等は、現行制度では相続時の時価と、相続時以前3カ月間(相続発生月、その前月、前々月)の各月における終値平均額のうち、最も低い価額で評価されることになっているが、原則として相続時点の時価で評価されることにする▽上場株式等は価格変動リスクの高く、価格変動リスクの低い預金や債券など他の資産と比べて不利。家計資産の多くが高齢者によって保有されている中、相続税によって高齢者の資産選択にゆがみを与えているとの指摘がある―とし、見直しの必要性を訴えた。
資産の相続税評価額は、定期預金は預金残高の100%で、価格変動リスクがないが、上場株式、土地、建物、ゴルフ会員券は価格変動リスクがある。リスクがあるものでも、土地は路線価(公示地価の80%程度)、建物は固定資産税評価額(建築費の50~70%)、ゴルフ会員権は市場取引価格(時価)の70%程度にとどまるのに対し、上場株式は取引所終値の100%となっており、この点が問題だとした。
■参考:金融庁|金融庁の平成30年度税制改正要望について|
http://www.fsa.go.jp/news/29/sonota/20170831/20170831.html