移転価格文書化制度の整備を受け国税庁は先般、121頁にわたる移転価格ガイドブックを公表した。概要は以下の通り。
【Ⅰ 移転価格に関する国税庁の取組方針】移転価格分野を取り巻く環境について述べたうえで、移転価格税制の執行体制と取組方針、今後の方向性を解説。納税者の予測可能性の確保のため自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に資する施策を推進するとして、本年7月からは企業が来訪する相談窓口が各国税局に設置される。BEPS事案等の取引に対する重点的な実地調査も実施する予定。また外国税務当局によるCbCレポートの不適切使用に対する懸念を踏まえ、OECDで外国税務当局にBEPS勧告等の遵守を求めていく。
【Ⅱ 移転価格税制の適用におけるポイント】納税者の対応の参考とするため、「みなし国外関連取引」「独立価格批准法の適用」など具体例を用いて、移転価格税制の適用の際に検討、確認を行う事項を提示。各設例では取引関係図を図示し、移転価格調査の一場面における「納税者の視点」「調査担当者の視点」がそれぞれ示されている。
【Ⅲ 同時文書化対応ガイド】国外関連取引の事例を2ケース用いて、ローカルファイルの全体像と記載事項がわかるサンプル(作成例)を掲載。
■参考:国税庁|移転価格ガイドブック~自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて~|
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kakaku_guide/index.htm