厚生労働省は平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況を公表した。個別労働紛争解決制度は、労使間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度だ。解決方法には、総合労働相談、労働局長による助言・指導、紛争調整委員会によるあっせんの3つの方法がある。
平成28年度の状況では、総合労働相談、助言・指導申出、あっせん申請のいずれも前年度と比べて増加する結果となった。総合労働相談は113万741件(前年度比9.3%増)、助言・指導は8,976件(同0.6%増)、あっせん申請は5,123件(同7.3%増)となっている。総合労働相談のうち、民事上の個別労働紛争の件数は25万5,460件(同4.2%増)となった。民事上の個別労働紛争、助言・指導の申出、あっせん申請のいずれでも「いじめ・嫌がらせ」がトップとなった。民事上の個別労働紛争の内容では、「いじめ・嫌がらせ」についで、「自己都合退職」、「解雇」、「労働条件の引下げ」、「退職勧奨」と続いている。
厚生労働省では、職場におけるいじめや嫌がらせが高止まりしている現状を受け、個別労働紛争の未然防止と迅速な解決に向けた取組みを行う予定だ。