中小企業の人材不足 長時間労働解消の大きな課題に

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残業時間の上限を法律上制限しようとする動きが活発化している。原則として月平均60時間で年間の総残業時間は720時間までとする案が法律化する見込みで、総残業時間抑制のために企業側の動きも同時に今後活発化せざるを得ない状況だ。

労働時間を考える上で、中小企業において特に問題となるのが人材不足だろう。優秀な従業員の数に限りがあるため、一部の者に負荷がかかってしまう傾向がある。そのため、望むと望まざるとにかかわらず、長時間労働が発生するケースも少なくない。学校法人産業能率大学が従業員6人以上300人以下の企業の経営者を対象に行った調査によると、約半数となる48.6%の企業で従業員が不足していると回答している。業種としては、建設業、情報通信業、飲食店・宿泊業、医療・福祉業においては、6割以上の企業で人材不足という回答結果となった。特に医療・福祉業は69.0%で人材不足という異常事態とも言える状況だ。

高い報酬を支払えばよい人材が集まるのは当然かもしれないが、それが可能な企業は限定的だろう。限られた人件費の中で、長時間労働を発生させずに事業を運営させるという経営課題をいかにクリアするか、企業の真価が問われることになる。