未実現損益の税効果会計 従来通り繰延法で決着へ

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企業会計基準委員会は、現在、日本公認会計士協会の税効果会計に関する実務指針の移管作業を行っているが、論点の1つとされているのが国際的な会計基準と齟齬がある未実現損益の消去に係る税効果会計の取扱いである。

未実現損益の消去に係る税効果会計の取扱いについては、現行、税効果会計基準が採用している資産負債法の例外として繰延法が採用されており、IFRSの取扱いとは異なる。米国会計基準では棚卸資産は繰延法だが、棚卸資産以外の資産に係る未実現損益の税効果については、繰延法から資産負債法に変更している。

これまでの議論では、米国会計基準と同様の取扱いとする方向で検討が進んでいたが、棚卸資産かそれ以外の資産かにより会計処理を変更することに理論的な根拠が薄いとの理由などで断念。その後、IFRSとの整合性を図る方向で検討したものの、一部の企業からはシステム変更や内部統制の構築など多大なコストが生じるとの意見が聞かれており、企業会計基準委員会の事務局では、資産負債法への変更は難しいとの判断に至っている。このため、未実現損益の消去に係る税効果会計の取扱いについては、従来どおり繰延法を採用する方向となっている。